みなさんは「都心部・臨海地域地下鉄構想」をご存じでしょうか?
臨海地域地下鉄構想とは「東京駅〜有明・東京ビッグサイトの約6.1kmを結ぶ新路線を作る」という構想です。現状、晴海フラッグの住居棟へは、最寄り駅の都営大江戸線「勝どき駅」から徒歩で約15〜20分かかります。人によっては遠いと感じる距離でしょう。
しかし臨海地域地下鉄構想が実現すれば、約10〜15分に短縮される見込みです。「10分程度であれば、運動がてら歩くのも良さそう」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、臨海地域地下鉄構想の具体的な内容をご紹介します。晴海フラッグの交通アクセスが気になる方は、ぜひご覧ください。
目次
都心部・臨海地域地下鉄構想とは?
都心部・臨海地域地下鉄には、新路線の設置を通して、都心部と臨海地域とをつなぐ交通基盤の中心としての機能が期待されています。
臨海地域には、世界から人や企業、投資を呼び込み、東京や日本全体の持続的成長をリードする地域としての発展が求められています。
臨海地域地下鉄の起点は、大規模ターミナル駅である東京駅です。ビジネスの拠点である東京駅とつながり、さまざまな人と広域的な交流をすることで、開発中の臨海地域のポテンシャルを最大限に発揮できると考えられています。
東京駅周辺の大手町は、新産業創造・国際ビジネスハブの形成、丸の内はビジネス・国際交流拠点の形成を目指しています。日本の中心的な地域とつながることで、臨海地域自体の発展も期待できるでしょう。
東京臨海高速鉄道が営業主体に
臨海地域地下鉄構想の営業主体は「東京臨海高速鉄道」です。東京臨海高速鉄道は、新木場駅〜大崎駅を結ぶ、りんかい線を運営する鉄道会社です。
確定はしていませんが、りんかい線「国際展示場駅」の近くに「有明・東京ビッグサイト駅」(仮称)を建設する計画があります。そのため、りんかい線との接続のしやすさが東京臨海高速鉄道が参入した理由のひとつにあげられるでしょう。
営業主体は東京臨海高速鉄道ですが、線路の整備には「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の参入が決まっています。
晴海の交通網の整備・築地のまちづくり
臨海地域地下鉄構想には、晴海の交通網の整備と築地のまちづくりの側面もあります。
臨海地域地下鉄構想でもっともメリットがあるといえるのは、晴海エリアでしょう。「晴海駅」(仮称)は晴海フラッグの最寄駅としての機能が期待されています。現在「鉄道空白地帯」と呼ばれるほど、交通の利便性が課題ですが、新駅の設置で解消できるかもしれません。
東京都では、臨海地域地下鉄構想を念頭に置き「築地地区まちづくり事業」を推進しています。「新築地駅」(仮称)の設置場所の想定は、築地市場の跡地です。屋内全天候型の多機能施設、シアターホール、フードホールなどの施設の設置を計画しています。
晴海駅(仮称)が誕生予定
臨海地域地下鉄構想で設置される見込みの7つの新駅は以下のとおりです(すべて仮称)。
- 東京
- 新銀座
- 新築地
- 勝どき
- 晴海
- 豊洲市場
- 有明・東京ビッグサイト
東京駅〜有明・東京ビッグサイト駅までの所要時間は約15分の予定です。現在、東京駅〜東京ビッグサイト駅までは、新橋駅でJRからゆりかもめに乗り換えるルートで約35分かかります。
また東京駅〜勝どき駅は、新橋駅でJRから都営大江戸線に乗り換えるルートで約30分かかります。晴海駅が誕生すれば、半分の所要時間で晴海フラッグの最寄り駅へのアクセスが可能です。
どこに出入口ができる?
晴海駅が設置される場所は、晴海通り(東京都道304号)の西側が想定されています。中央区が検討している出入口は、以下の3つです。
- 晴海三丁目交差点への出入口
- 晴海四丁目側への出入口
- 晴海五丁目側への出入口
なかでも晴海五丁目方面に関しては、地下ネットワーク動線の確保を目指すと発表されています。晴海フラッグは晴海五丁目に位置しているため、雨に濡れず、より快適にアクセスできるようになるかもしれません。
充実した地下ネットワークの構築に向けて、周辺の開発事業者との連携も検討されており、利便性と過ごしやすさの向上が期待できるでしょう。
晴海三丁目には「東京海員会館」や「L stay&grow 晴海」などがあります。とくにL stay&grow 晴海は、カンファレンスホテルとして利用できるため、ビジネスで訪れるにも便利です。
晴海四丁目には「晴海特別出張所」や「中央区立晴海図書館」などの行政施設があります。両施設が入っている晴海区民センターは、現状、都営大江戸線からアクセスする場合、勝どき駅から徒歩約12分です。晴海駅の設置で、利便性の向上が期待できます。
現在の晴海フラッグの最寄り駅は?
現在、晴海フラッグの最寄り駅は都営大江戸線「勝どき駅」で、駅からは1.0km以上離れています。
たとえば勝どき駅からもっとも近いSEA VILLAGEのE棟は約1.2kmで、徒歩約16分です。一方、沿岸部に近いPARK VILLAGEのA棟は約1.7kmで、徒歩約23分です。
「駅から遠い」という印象はありますが、徒歩以外に都営バスでの移動もできます。都営バスを使えば、四谷や東京方面へのアクセスも便利です。
都営大江戸線 勝どき駅
都営大江戸線「勝どき駅」は六本木駅まで6駅、新宿駅まで10駅と、都心部へのアクセスが良く、都内への通学や通勤にも困りません。乗り換えはありますが、東京駅までは約30分です。
勝どき駅は都心へのアクセスが良好なだけでなく、住環境も整っています。飲食店が入っている「勝どきサンスクエア」や遊具のある「月島第二児童公園」など、利便性と自然がそろうまちです。
スーパーマーケットや専門店を展開している「ららテラス HARUMIFLAG」は、晴海フラッグ方面に立地しています。
勝どき駅から晴海フラッグまでの経路(バスの場合)
勝どき駅から晴海フラッグへは徒歩以外に、都営バスでのアクセスが可能です。都営バスの場合、勝どき駅からは、停留所「勝どき駅前」で以下の路線のバスが使えます。
- 都05-1系統
- 都03系統
都05-1系統で、晴海フラッグエリアへのアクセスに便利なのは以下の停留所です。
- はるみらい前
- 晴海ふ頭公園南
- 晴海埠頭
また都03系統の場合は、以下のとおりです。
- はるみらい前
- 晴海ふ頭公園北
- 晴海五丁目ターミナル(マルチモビリティステーション)
ただし、今後路線が変更される可能性もあるため、詳細は利用時にご確認ください。
将来的には羽田空港直結も(まだ構想段階)
現時点では構想段階ですが、将来的には設置予定の晴海駅から羽田空港への直結も検討されています。
JRは現在、東京駅や新宿駅方面と羽田空港を結ぶ「羽田空港アクセス線」の工事を進めています。羽田空港アクセス線には以下の3つのルートが作られる予定です。
- 東山手ルート
- 西山手ルート
- 臨海部ルート
晴海駅を設置した場合、臨海部ルートとの接続も視野に入れられています。正式な確定はしていませんが、羽田空港への直結が実現すれば、交通の利便性はますます向上するでしょう。
着工開始は2030年を予定
臨海地域地下鉄構想について、東京都は2030年までに着工し、2040年の開業を目指しています。総工費は約4,200〜5,100億円で、累積資金収支黒字転換年は30年以内という計算です。
臨海地域地下鉄構想では、羽田空港への直結以外にも将来的に「つくばエクスプレス(TX)」との接続も見込まれています。つくばエクスプレスは、秋葉原とつくばを最速45分で結ぶ路線です。
つくばエクスプレスは、現在は他線との直通運転をしていない単独路線ですが、東京駅までの延伸が計画されています。さらに羽田空港への接続が実現すれば、空港へのアクセス方法の選択肢が広がります。
とはいえ、実現には費用や乗り入れ方法などの調整事項が多く、すぐに決められるものではありません。まずは臨海地域地下鉄として、東京〜有明・東京ビッグサイトまでの建設を2030年に着工する方針です。
晴海駅が開業するとどんなメリットがある?
臨海地域地下鉄構想が実現し晴海駅が開業すると、交通の利便性は上がり、資産価値の向上にも期待ができるでしょう。
晴海フラッグの人気の理由のひとつに、広さの割に価格が安い点があります。勝どき駅は、買って住みたいまちランキングでも上位に入る人気エリアです。にもかかわらず価格設定が低いのにはさまざまな理由がありますが、ひとつは「駅から遠いこと」があげられます。
不動産の価値を決める要素のうち「立地」はとくに重要です。晴海フラッグは、申し込みの最高倍率が226倍の部屋があるほど人気なエリアです。そのため、交通の利便性が向上すれば、さらに人気が高まり、資産価値も向上すると期待できます。臨海地域地下鉄が実現すれば、通学や通勤が便利になるのはもちろん、資産価値にも影響するでしょう。
まとめ
臨海地域地下鉄構想は、東京駅〜有明・東京ビッグサイト間に新路線を作るという構想です。
計画では、晴海フラッグの最寄り駅として「晴海駅」(仮称)が設置される予定です。現状、晴海フラッグの最寄り駅は都営大江戸線の勝どき駅で、住居棟までは徒歩約15〜20分かかります。
しかし構想が実現すれば、半分程度の時間でアクセスできるでしょう。さらに都心部へのアクセスも向上します。将来的には羽田空港に直結する構想もあがっているため、新幹線や飛行機も利用しやすくなるでしょう。
臨海地域地下鉄構想で、晴海をはじめ築地や豊洲などの開発も進むと考えられるため、晴海フラッグの資産価値の向上にも期待できます。
テキスト:ハルフラ編集部
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